Yutaka

サムライのYutakaのレビュー・感想・評価

サムライ(1967年製作の映画)
4.2
この世で最もカッコいい映画と言われても納得出来る。映画を通してメルヴィルの美学が一本の弦のように張られている。オープニングからベッドでタバコを吸い、煙だけがモクモクと揺蕩うシーンでウットリしてしまう。そこから一言も発さずにルーティンチックに"仕事"をこなす所作がひとつの芸術。これを体現できるのはアラン・ドロン以外に思い浮かばない。
他にもセットや劇伴の美しさといい、行動のプロセスに宿るリアリズムといい、そのモノトーンな質感、トーン&マナーに影響を受けた作品は幾らでも思い付く。ハリウッドのフィルム・ノワールとは一線を画すフレンチフィルム・ノワールだった。
Yutaka

Yutaka