Ark

サムライのArkのレビュー・感想・評価

サムライ(1967年製作の映画)
4.5
2024-53
殺し屋のジェフは、クラブでターゲット殺害後に部屋から出るときにピアニストの女と鉢合わせ、姿を見られてしまう。警察にマークされてしまったジェフは自らとある決断を下す。



兎にも角にもアラン・ドロンがカッコよすぎる。31歳という若さなのに渋いし、ハットとトレンチコートが似合いすぎているし、この役がハマりすぎている。

ほぼアラン・ドロンをぶっ通しで拝ませていただける作品。淡々と静かに進んでいく。彼のスタイリッシュさと美しい顔立ちのおかげもあって非常に洗練された雰囲気になっている。殺し屋映画とは思えない品がある作品。

今回は謎の吹き替えはなく普通に原音だったので良かった。

本作は、1羽の鳥と小さな部屋に住んでいる孤独な殺し屋ジェフが、ターゲット殺害直後に部屋から出る姿をピアニストに見られてしまったことで警察にマークされ、追い詰められていく話。

主人公のキャラクター像が良いんだな〜。金を受け取っているから“仕事”をするという割り切りよう。勘も良ければ頭も良いし、殺し屋らしく警戒を怠らない。盗難車用にジャラジャラと大量の鍵を持ち歩き、会話は最小限。持ち物も家具も最低限、部屋も小さい。最後には恩義を貫き自ら“その時”へ突っ込んでいく生き様が潔い。
殺しの依頼と1羽の鳥以外に何も持っていない彼の空虚な日々は物悲しい。

ジェフは帰ってきたら玄関前でまずハットを取ってフックに掛け、次にコートを脱いでフックに掛ける。出かける時は同じく玄関前で鏡を見ながらコートを着て、ハットを被る。帰宅と外出のたびに繰り返されるルーティンが好き。
そして地味に腕の血が止まらないところがリアル感があって良き。

「サムライの孤独ほど深いものはない。さらに深い孤独があるとすれば、ジャングルに生きる虎のそれだけだ(『武士道』より)」
冒頭、薄暗く彩度の低い部屋のベッドに横たわり、静かにタバコをふかすアラン・ドロンを背景に浮かび上がるこの一節は、メルヴィル監督が作った架空のものらしい。
てかこのオープニングがお洒落すぎて全然見ていられる。

金髪のジャーヌ(ナタリー・ドロン)はアラン・ドロンの当時の嫁。
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