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サムライのandesのレビュー・感想・評価

サムライ(1967年製作の映画)
3.9
冒頭のミニマムな室内ショットからアラン・ドロンの孤独が画面に広がり、恐らく悲劇的なラストへ向かう物語が始まる気配を感じる。必要最低限のセリフと明確なカメラがスリリング。
要所要所で時刻が表示されて、時間経過がわかる。夜のシークエンスも多く、寝不足と思われるドロンがどんどんやつれていくのは良い感じ。二人のヒロインが出できてドロンに悪い印象をもってないが、ベタベタしないのがかえってキャラを立たせていると思った。
さて、ドロンは劇中2人殺しているが(1人はマフィア)、前科はない。銃も調達して捨てており、普段は携帯していない。徹底的に職人として仕事を続けてきたのだろう。そんなドロンが「しくじった」映画とも言える。最終回という感じ。ラストは「しくじった」自らの仕事に幕を引いたのだろう。
映像の美しさ(作風は違うが、意外とジャック・タチとか小津安二郎を思い出した)と主人公の美学にハマる人は人生の1本となる映画だと思う。自分はそれほどでもなかったけど、十分に名作と感じた。
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