Mikiyoshi1986

サムライのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

サムライ(1967年製作の映画)
4.9
祝・国内初Blu-ray化!
この極上のフィルム・ノワールの世界を素晴らしい映像美と共に堪能できる感動と歓び。
終始、感嘆です。

上質なメタリックの中に深海のような澱みのないダーク・ブルーを携えた艶やかなフィルムの質感。
シークエンス・シーン・カット・1コマ単位に込められた画力の凄み。
品性と恍惚とが共存する音の世界。
そして孤高の殺し屋を演じるアラン・ドロンの圧倒的存在感。

言葉少なく、画で語るこの美学に感化されるように、観ている間、私は暫し言葉を失います。

思えば高校の時アラン・ドロンに憧れて、彼がプロデュースしている香水SAMOURAIの2000年限定版「SAMOURAI GOLD 2000」を愛用していました。
通常版よりも断然エレガントな香りでめっちゃ好きだったんだけど、結局その年の生産だけで今ではもう手に入らないんですよね…。
もう一度あの匂いを嗅いでみたいものです。

最後に。
三島由紀夫は自決する2年前、本作に対して「映画芸術」(1968年5月号)にこんな評論を寄稿しています。
「社会問題も政治問題もないところで、自律的な作法の美しさだけがモラルとして輝きだし、そこにはただ生死があるばかり、しかも生と死の境目が、端麗なソフトのへりの薄い一線に他ならない」と。
Mikiyoshi1986

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