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真昼の決闘のodyssのレビュー・感想・評価

真昼の決闘(1952年製作の映画)
2.5
【西部劇としてはどうかな】

有名な映画ですが、BS録画にて鑑賞。

冒頭まもなく、ゲイリー・クーパーとグレース・ケリーの結婚式のシーンがありますが、新郎が老けて見えるのにびっくり。あとで調べてみたら、クーパーは 1901年生まれだからこのときもう50歳になっていたのですね。さすがに画面上ではそこまでの年齢とは思われず、40歳くらいかなという印象でしたが。クーパーはさらに5年後に『昼下がりの情事』でヘップバーンと共演するわけだけど、あそこでは年長のプレイボーイとうら若い娘という対比が生きていました。だけどこの『真昼の決闘』ではどうですかね。このときグレース・ケリーは22歳ですから、父娘でもおかしくないわけで。

西部劇としてはやや破格のストーリーです。典型的な筋書きの裏を行ったということなんでしょうが、率直に言ってあんまり面白いとは思いませんでした。たしかにこういう、「烏合の衆」的な市民たちがいざとなると役にたたないという設定は可能ですけれど、西部劇でそれをやる必要があったのかどうか。暴力団と市民とか、現代劇でならそれなりの真実味が出ただろうと思うんですが。それに、いくら腕が立つと言っても相手は4人でしょう。群れをなして攻撃してくるわけでもない。保安官に加えて市民が10人集まれば十分対抗できただろうと思う。

最後に、ならず者たちが倒されるとすぐに市民たちが集まってくる。その中で、妻と今度こそ本当に旅立つ直前の保安官が星型バッジを路上に投げ捨てるシーンが、なかなか印象的です。

のちに『夕陽のガンマン』で主役イーストウッドをしのぐ活躍を見せるリー・ヴァン・クリ-フが、悪人グループの一人として出ています。これが映画初出演だったとのこと。

話は変わるけど、本来縛り首になるはずだった悪人が無期に減刑され、挙句の果てに恩赦で釈放されて復讐にやってくる、って設定は、死刑制度の是非にも関わる問題でしょう。日本でも、人を殺して無期になった男が減刑されて出所し、自分が逮捕される契機となった情報提供者の婦人を探し出して殺し、今度はさすがに死刑になるという事件がありましたけど、悪い奴は世の中に出て来れないようにするのが正義ってもんじゃないか、なんて思いました。
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