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真昼の決闘のhasseのレビュー・感想・評価

真昼の決闘(1952年製作の映画)
4.1
ゲイリー・クーパー、グレース・ケリー主演の1952年の西部劇。
ヒーローとして描かれてきた保安官を、町の人々から見捨てられた孤独と敵への恐怖を抱える一個の人間として描き直した作品。従来の西部劇の王道の否定ともとれる作品を、それまで主に現代劇を扱ってきた、(たぶん)西部劇初めてのジンネマン監督がやってのけたことは画期的だが、当時の同業者のリアクションってどうだったんだろう、と気になるところではある。

保安官(ゲイリー・クーパー)だけでなく、脇役についてもテンプレの役割を解体されている。
妻(グレース・ケリー)と元カノ(ケティ・フラド)は男性に守られる存在ではない。酒場の経営者である元カノは町の危険を悟ると、共同経営者に2000ドルで酒場を売り、次の活動の場を求めてさっさと町を去る。また、過去にミラーが事件を起こした際は仲介役を務めたこともある。極めて現実主義でドライな性格だが、自らの手で活路を切り開いていく自立した女性として描かれている。
妻は夫の正義感に呆れて見捨てかけるが、銃声を聞いていても立ってもいられなくなり、町へ舞い戻る。彼女は保安官に守られるどころかサポートして四人のうち一人倒すことに成功する。

デビューしたてのグレース・ケリーの美貌が、舞台の田舎町から浮いてしまうほど際立っている。
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