演出の古臭さは否めないが、示唆に富んだ内容は古びていない
地殻変動によって日本が太平洋に沈んでしまうという予測に対し、日本国民を脱出させようとう奮闘する人たちを描く、ディザスタームービー。
子供の頃に見た記憶は、沈みゆく日本をジオラマで表現した特撮の迫力と、ラストシーンの車窓に映る男女(藤岡弘、いしだあゆみ)の姿。それ以外は全くと言っていいほど憶えていなかった。
今見ると、特撮シーンは意外なほど少なく、日本が沈み始めるのは最後の30分ほど。リアリティという点では今の技術に及びもつかないが、特撮ならではの迫力は十分で、決して色褪せていない。
一方ドラマとしては、市井の人々の描写はほとんどなく、秘密裏に日本沈没の調査と脱出計画を進める関係者の群像劇がほとんどを占める。ここが、エピソードが断片的で演技も紋切り調で、どうしても古臭さを感じてしまう。
しかし、首相役丹波哲郎のセリフなど、哲学的で示唆に富んだものも多く、色々考えさせられる。