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ベルリン・天使の詩のhoshのレビュー・感想・評価

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)
4.4
悠久の時からずっと人間たちを見守り続けてきた天使たち。ある日人間に恋をした天使は下界に降りることを決意し…というお話。

詩的で難解。けれどこの映画の寂しさに寛容で、孤独で、感覚的で、やさしい空気感は心地よかった。眠れない夜、人生に行き詰まった時に頭で鳴り止まないひとりごと。それらを包んでくれる。みななにかを抱えている。

地下鉄で落ち込んだ男性に寄り添う場面、サーカスの打ち上げの際の女性の「さらっと言えるといい。今みたいに。私は陽気よ」という感覚、終盤の寂しさにまつわるやり取り。ここだけでも見てよかったと思えるほど好き。構図と撮影も極上。

かじかんだ手を温める、コーヒーを飲む、タバコを吸う、何気ない道を歩く。その感動。生の感覚をいつもより感謝して味わいたくなる作品。「You Were?」「Yeah.」
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