kanappe

ベルリン・天使の詩のkanappeのレビュー・感想・評価

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)
5.0
『空とは別の太陽があるんだよ、カシエル』

映画が始まって直ぐに、語られる言葉の美しさに気がついた。「ベルリン・天使の詩」という邦題が素晴らしい。
ベルリンの壁崩壊前夜、人々が生きていく世界は時に残酷で、時に耽美的で、でもありふれていて、他愛がない。
それが私たちには苦しく、つまらなくもあるが、天使にとっては、それが生きるということなのだ。
人々に寄り添う天使達の眼差しの優しさに涙してしまう。パウル・クレーが描く天使の優しさ、そのものだった。

こういう映画を見ると、明日から私に吹く風や太陽の光や、雨の匂いや起こることのすべてに許しながら感謝したくなるな。


『なぜ平和だと
誰も昂揚することがなく
物語が生まれにくいというのか』

『閉じた目の中で更に目を閉じめば
石だって生き始める』
kanappe

kanappe