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死霊のはらわたのbibooのネタバレレビュー・内容・結末

死霊のはらわた(1981年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自主制作感はあるものの、画角や配置もすごくキマってるし、カメラワークのセンスとか、エンディングの音楽のセンスに痺れた。池を這うようなカメラワークのオープニングとか、顔を上から180度映すカットとかどうやって撮ってんだろうと思っていたが、メイキングを聞いてみると、オープニングは主演のブルース・キャンベルがボートを押しながら、サムライミの手にテープでカメラを固定して撮ったんだとか。上から撮った躍動感のあるカットは下半身を天井に引っ掛けてアクロバティックな姿勢で撮ったというようなことを言っていた気がする。

どうやって撮ってるんだろうみたいなカットがふんだんなんだけど、メイキングを知れば知るほど「カメ止め」を見たときに感じたような、物作りって良いな…って漠然と思い馳せてしまう温かな気持ちが押し寄せてくる。ゾンビになってしまった女性の涙は実は玉ねぎの力で出していたり、突き破られた窓のガラスは本物だったり、よく見ると血糊が通るチューブが見えちゃってたり、スタッフが見切れてたり、そんな抜けてる部分もアナログゆえの温かみだと受け取れてしまう。ゾンビも描写も、人形にしてはよくできていて、貫通する描写はどうやってんだろうと思ったほど。手を踏みつぶすと血が吹き出る描写は、血糊とガラスをゴム製の手に詰めて叩きつけると破れて血糊が噴き出す仕組みになっているそうで、そういう裏話も込みで面白い。キモさがトラウマものな、クライマックスのゾンビが消滅していくシーンは、クレイアニメを合成して仕上げていたり、牛乳とオートミールとか混ぜたものを死体から噴き出させていたり、低予算かつこの時代にできる技術でうまいこと表現されているのも素晴らしい。

サム・ライミの、今も健在なケレン味たっぷりの音使いのスタートが見られるし、内容が悲惨だから最後は明るいクラシックにしたというエンドロールの音楽も良いし、最後クラシックが不穏な感じにミックスされてフェードアウトしていく締めの切れ味も最高。

完成当時は配給に全然信用してもらえなくて、観客の野次にビビった配給から編集しなおそうといわれたり、クリスマス時期に撮影したことでスタッフが途中で帰ったり、聞くと散々なんだけど、40年経った今でも続編が作られる名作になったのは、この詰まった工夫とサム・ライミの粘り強さにあるんだろうなと思う。
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