桃子

インビジブルの桃子のレビュー・感想・評価

インビジブル(2000年製作の映画)
3.5
「変態透明映画」

ポール・ヴァーホーヴェン監督の変態ぶりが発揮されているホラーである。もっとも、監督は「スタジオの奴隷になった気がした。空っぽ(Hollow)な作品だ」と語っているので、どうしても自分が撮りたかった作品ではなく、雇われ監督という立場だったのだろう。
例によって、去年見た映画なので細かい部分は忘れ果てているが、人体が透明になっていく描写はかなり覚えている。皮膚が消え始め、筋肉が見えてきて、やがて骸骨になり、そして透明になる。もう21年も前の映画だけれど、CGの技術はなかなかのものだ。妙にリアルで生なましく、そしてグロテスク。このグロが監督の持ち味なので、充分に自己主張していると思う。「からっぽな作品だ」と思ったのはもっと別のところに理由があったのだろう。
そして何より、主人公のセバスチャンを演じているケビン・ベーコン!!めちゃくちゃハマっている。透明になって犯罪をおかすところから、モンスターとなって人を殺しまくるところまで、どこをとってもしっくりきている(笑)。はまり役というのはこういうことを言うのだと思う。彼以外の脇役さんたちはほとんど知らない人たちばかりだったので、よけいに目立ったのかもしれない。
SFにおいて、人間が超絶な力を得るとモンスターと化してしまうというのはテッパンである。オリジナルの「透明人間」よりさらにパワーアップしていて衝撃度も高くなっている。そうそう、この映画のキャッチコピーがかなりイケている。「姿は見えないが、殺意は見える」 上手い!座布団10枚差し上げたい(^^)
桃子

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