Eyesworth

インビジブルのEyesworthのレビュー・感想・評価

インビジブル(2000年製作の映画)
4.4
【透明人間の現実】

ポール・ヴァーホーベン監督、主演エリザベス・ショー、ケヴィン・ベーコンが送る透明人間SFスリラー。

〈あらすじ〉
天才外科医のセバスチャン・ケイン(ケヴィン・ベーコン)率いる国家機密の研究チームは、完全な透明人間を生み出すプロジェクトに携わっていた。ある時、ひらめきを得たセバスチャンは透明化した動物を完全かつ安全に元の状態に戻すことに成功する。この大きな成果を学会で発表すれば科学史に残る大挙だが、エリートで自信家のセバスチャンは発表せずに、国家にこの技術を盗まれる前にもっと大きな結果を出すと息巻く。そして彼は、自ら透明化の実験体になることを志願した。透明化は難なくクリアしたものの、十日経っても肉体を復元することができない。姿が見えず存在を理解されない彼は次第にストレスが溜まっていき、最初は同僚で元カノのリンダ(エリザベス・ショー)やサラ(キム・ディケンズ)にいたずら程度の接触をしていたが、徐々に行動はエスカレートしていき、とんでもない事態に発展してしまう。

【所感】
透明人間SFの代表的映画。まさしくヴァーホーベンここにあり!といったエロとバイオレンス満載でスリル満点だった。透明人間といえば、『ONE PIECE』のサンジの夢であり、万国共通男子の憧れの能力No.1だと思うが、実際に自分が透明人間になったらと考えると、セバスチャンの以上に嬉しさよりも誰にも存在に気づかれない孤独感でいっぱいになりそう。恐らく、こんなヤバいことしてやったぜ!と自慢できる同じ透明人間の友達がいて初めて透明人間の魅力は成り立つのだろう。じゃないと正気の沙汰ではいられない。たまに空気のように誰にも察知されたくない時もあるけれど、存在していることに有難みを持とうと学んだ。何より、この時代にしてはCG技術がすごいのではないか。こういう映画を見ると、アメリカという国は常に日本の何十歩も先を歩いてきたんだなと感じる。対岸の火事を他人事のように楽しく見れるのもフィクションの醍醐味である。ただ、天才科学者ならもっとマシな使い方を考えろよと思ってしまう。どんな人間でも彼と同じ境遇に陥れば、いとも簡単に狂気に染まってしまう。そんな説得力があった。
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