まめもやし

ドニー・ダーコのまめもやしのレビュー・感想・評価

ドニー・ダーコ(2001年製作の映画)
3.7
複雑で難解な映画と言われているものの、個人的には伏線やラストなど結構納得がいきそれほどの難しさは感じなかった。『遠い空の向こうに』でのさわやかな青年を演じたジェイク・ギレンホールが今回の難しい影を持った少年を力演して素晴らしいものだった。

物語としては監督の狙い通り繰り返して観たくなる、話題性のある作品になっている。特典のインタビューでジェイクが言っていたようにこの映画はドニー・ダーコの「旅」である。その旅は切なくも空しいものではあったが決して意味のないものではない。未来の人生を生き、運命ではなく自分の意志による選択をする、いわば自分を探しにいったのだと感じた。

印象的だったのは劇中でドニーが銀色のウサギになぜウサギの着ぐるみをと聞くと、なぜ人間の着ぐるみをと返されてしまう場面。この映画に登場する人物の多くが他人から見える表面的な自分とそして隠している、いわば影の自分の一面を持っている。これは自分自身にも言えることで生き抜くために知られたくない、見られたくないことは影で覆ってしまう。だからこそ人間の着ぐるみとして生きているという表現は胸に刺さるものだった。

結果的には悲しく切ない話ではあるが「旅」から帰ったドニーの笑った表情にすべてが詰まっていると思う。好みはあるが音楽もいいし個人的にはハマった映画。
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