けーはち

エイリアンのけーはちのレビュー・感想・評価

エイリアン(1979年製作の映画)
3.7
センス・オブ・ワンダー、未知なるものへの想像=恐怖+好奇心を刺激するのがSFだが、そこにキモグロ殺戮モンスターを投入、閉鎖空間で1人1人殺していくホラー演出を前面に出してSFホラージャンルを打ち立てる本作。シュルレアリスム美術家H・R・ギーガーによる異形美の怪物造形、複雑怪奇でゴテゴテした宇宙船のビジュアルは怖さ・不気味さ・インパクト十分。「宇宙船のエンジニアが給料・契約に不満だった」「検疫のための隔離を指示したが無視された」「エイリアンを持ち帰るために上の指示で人命を無視する計画が裏で動いていた」といった人怖要素を掻い摘み、最後に強く成長し生き残るのが純粋な女性なのも話の厚みをお値段以上に増すためのお約束。結果から見て険悪な人間関係は本筋にさほど関係ないし、後に戦うヒロインの代名詞となるリプリー(シガーニー・ウィーヴァー)も這々の体で脱出するのがやっとではあるが、やはりSFホラーの嚆矢と言って差し支えあるまい。