三樹夫

ミンボーの女の三樹夫のレビュー・感想・評価

ミンボーの女(1992年製作の映画)
3.9
ヤクザのシノギのカモにされているホテルが舞台。ホテルでどうやってヤクザがシノギを得ているかというと、ゆすり、たかり、脅しで、警察は民事不介入で何もしてくれないので金をせびられ続ける。
ヤクザにいいようにされて、そこへ救世主とも呼べる弁護士登場。井上まひるの力もあり次々ヤクザを撃退していくが、ラスボスヤクザの伊東四朗が登場。ホテルの従業員全員がヤクザに立ち向かうことを決め、最後は独り立ちという、もの凄いウェルメイドな作り。
伊丹十三のヤクザ嫌いというか、ヤクザなんて碌なもんじゃないわという気持ちが込められており、あいつらなんてデカい声で喚いているだけやと虚飾をはぎ取るが、公開後伊丹十三は実際にヤクザに襲撃されることになり、その後身辺警護を付けられたことが『マルタイの女』に活かされることになる。

ヤクザなんて怖くないという分かりやすい作りで勧善懲悪的なストーリーと誰にでも分かる作品になっており、裾野は広いだろうがエッジは薄くなっている。絵に描いたような悪いヤクザに皆で一致団結して立ち向かうのはどこかファンタジー感が漂う。外側はヤクザが大声で怒鳴りちらしていて荒々しく見えるが中身はシュガーコーティングされており、見た目は赤とか紫とか毒々しい色使いだが食べるともの凄い甘いケーキのような作品に思える。この作品が伊丹作品の中で一番の配給収入を叩き出しており、次点で『スーパーの女』となっている。
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