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シンデレラのhasseのレビュー・感想・評価

シンデレラ(1950年製作の映画)
4.0
1940年代後半にヒット作に恵まれなかったウォルト・ディズニーが、1950年に世に放った渾身の作品。彼の一番のお気に入りらしい。原作は、いくつかバージョンがある中で、魔女やカボチャの馬車等が登場し、映像的に映えるシャルル・ペロー版。

ストーリーの大筋はあまりに有名で知っていたが、ネコとネズミたちによるトムジェリ要素がかなり多かったのは意外。トムジェリはMGMだが、演出はかなり似通っていた。
継母と二人の娘に虐げられるシンデレラと、ネコに苛められるネズミたちという、ヒエラルキーの最下層の者たちが一夜にして逆境に打ち勝ち成り上がる。「夢を信じ続ければ、祈り続ければ必ず叶う」というディズニーらしい王道のメッセージも興行的成功の要因だろう。

二人の娘の外見が醜い(と周りの男性たちが認める)シーンが多く、今だとルッキズムにひっかかりそう。シンデレラが継母のことを頑なに(motherではなく)「stepmother」と呼び続けるのはせめてもの反抗の現れか?

シンデレラが「可愛いナイチンゲール」の歌をうたうときのシャボン玉シーンや、ネズミと鳥たちがシンデレラのドレスを繕うシーン、王様が大公に剣で斬りかかるシーンはシンプルに楽しい。70年以上前とは思えない躍動感、色彩感。
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