“幻想か現実か”
1900年2月14日、アップルヤード女学校の生徒たちがハンギングロックでピクニックをしていた。午後、数人がなんの痕跡も残さず消え失せた。
この映画は大体こんなテロップから始まります。
冒頭のピクニックシーン
美しい制服を着た少女たちが遊び、横たわり、眠りにつき、本を読む。
まるで、ファンタジーであるかのように美しく妖しく幻想的に描かれています。
そして、ピクニックを楽しんでいた生徒数人が忽然と姿を消してしまう。
不思議と失踪した少女たちの美しさが事件の不気味さを増幅させます。
この作品の肝はここからの展開です。
そう、全く行方不明になった少女たちの事件の真相に近付いていかない事です、笑。
真相に近づく事なく映画は進む。
しかし、この余白があるからこそ、置いていかれた気分になり、また、現実を覆い隠されているような錯覚に陥るのでしょう。
幻想的でもあり不穏な空気が漂うようにも感じられる悠然たる自然を前にして、そこは現実なのか否かの境界が不安定になったような錯覚を覚えます。
映画自体も同様にこの作品がファンタジーなのかサスペンスなのか、もはやわからない迷宮に。
不思議な感覚だけが浮遊するかのように残ります。
実話かどうかはっきりわかっていないらしいのが、また気味悪いですな。
色々と考察できそうなラストなので、気になった方は是非ご覧下さい。