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望郷子守唄のIMAOのレビュー・感想・評価

望郷子守唄(1972年製作の映画)
4.0
九州の小倉の炭鉱に生まれ、母(浪花千栄子)一人で育てられた田川正一(高倉健)。彼は近衛兵として軍隊に入隊するが、背中の刺青のおかげで上官から睨まれてしまう。度重なるいじめに耐えきれず、遂には上官に反抗して除隊となる。流れ着いた東京浅草で、軍隊で世話になった軍医の梅沢(藤田進)の元に居候することになる。だが、その腕っぷしを見込まれて地元のヤクザが彼に近づいてくる…

健さんのイメージっていうと「角刈り&着流し」というイメージが定着しているけど、コレは正にそのイメージ通りというか、ある意味そのフォーマットの中で作られた佳作だと思いました。健さんの映画は何本か観てきたけど、正直そんなにファンというわけでは無かった。でも、これを観て初めて好きになりました。というか、コレを観たら好きになっちゃうね。

でも何よりも脚本の構成の巧さ(人間関係、相関図がとても巧い)と、役者のキャラクターを生かしたキャスティング、そしてこの当時の日本映画の技術力がうまく融合している感じがします。ラピュタ阿佐ヶ谷の解説によれば、これを書いた脚本家の野上龍雄は、当時の全共闘運動に影響を受けてこの脚本を書いたとあるが、そうした健さんのイメージはこの当時の学生運動に影響を与える、というムーブメントを引き起こしている。彼らにとってこの時代のヒーローは高倉健と力石徹だった、とどこかで聞いたことがあるが、この映画を観るとそれもなんとなく納得してしまう。

健さんはもちろん良いんだけど、浪花千栄子、池辺良、藤田進、皆とても良い。そして一番の発見は星由里子!星由里子は若大将シリーズのイメージしかなかったんだけど、この着物姿の星由里子はとても良い!芸者の役なので、ちょっと踊るシーンとかもあるんだけど、そこがまた良質な色香を放っていてヤられました。年取ると着物姿の女性に弱くなるのです^^
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