Maychang

アドルフの画集のMaychangのレビュー・感想・評価

アドルフの画集(2002年製作の映画)
3.7
第一次世界大戦後の1918年ミュンヘンにて、若き日のアドルフ・ヒトラーと、彼の描く絵に価値を見出した架空のユダヤ人画商、マックスの関係性を描いたフィクション・ストーリー。

ヒトラーを描いた作品は数ありますが、ノアテイラーの演じる、繊細で尖った情熱を滾らせるヒトラー像はとても良かったです。やっぱりノア上手いなぁ。。

画家としての成功を一心に目指すも、思うように芽が出ず高いプライドが傷つけられていく青年アドルフ。
あるきっかけで人前で演説した時、彼のアーティスト性のピントが思いがけず合ってしまう。

こっち向きかも知れない。
彼のクリエティビティは政治のなかでいびつに覚醒していく…


面白い設定でした。もう少し主役マックスの人物像が奥深ければ、とても個性的な作品になっていたのではないかと。せっかくのジョンキューザックだもの!!

過去は変えられないし、ヒトラーがもし画家として成功していたとしても悲劇が起こらなかったかは分からない。

けれど逆に、大成したと言われる芸術家達の誰かがもし、実力や運に恵まれず鬱屈した創造性を誤った形で暴走させることがあったら……
また違う悲劇があったのかもしれません。


時代や文化、宗教に関わらず、普遍的に私たち心の中に情けなくはびこる自己顕示欲や創造性。
それらを暴走させず健やかに昇華させて生きる方法を、歴史を学びながら考えていかなければいけないなぁと感じました。
Maychang

Maychang