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アンナ・オズのakrutmのレビュー・感想・評価

アンナ・オズ(1996年製作の映画)
3.6
パリで暮らす主人公の女性アンナ・オズの現実が、夢で見ている虚構の世界に徐々に支配されていく姿を幻想的に描いた、エリック・ロシャン監督のミステリードラマ映画。

不条理映画を得意とするロマン・ポランスキー作品の脚本を多く手掛けているジェラール・ブラッシュに脚本を依頼しただけあって、なかなかの不条理映画に仕上がっていると思う。パリでの現実世界と夢の中のヴェニスでの虚構世界が交互に描かれていくが、場所が異なるのとアンナ・オズ以外の登場人物が重ならないので分かりやすい。そのうちに、虚構世界のアンナが現実世界のアンナを支配しようとするようになるという展開が面白い。でももちろん不条理映画なので、合理的に説明できないことも多いけど。

アンナ・オズを演じたシャルロット・ゲンズブールの可愛らしいベリーショートはおそらく貴重で、ジャケ写を見ただけだとシャルロットだとはわからない。作中では、足の長さとともに、ベリーショートのせいか首の長さも目立った。でも全体的に映像が暗いので、ちょっと気分が滅入るかも。夢だからって、こんなに暗くすることないのに。映像から察するに(ラストシーンを除いて)ヴェニスではロケしていなくて、セットでの撮影だからなのかもしれない。そんなこともあって、最初はヴェニスだと気づかなかった。

フランス国内や欧米での評価はあまり高くなく、かなりマイナーな作品のような扱いなのは、ちょっと意外。アロシネでもほとんどレビューされていない。
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