まちゃん

影の軍隊のまちゃんのレビュー・感想・評価

影の軍隊(1969年製作の映画)
3.9
ジャン・ピエール・メルヴィルの感情を排した硬質な演出が印象的だった。構図のセンスは素晴らしく、色味の無い薄暗い画面は重苦しい映画の雰囲気を決定付けている。ハリウッド映画のような派手な見せ場がある作品ではないが常に緊迫感があり画面に引き付けられた。主役のジェルビエをはじめとしたレジスタンス達からは信じる大義に殉じる高潔さを感じさせた。特にジャン・フランソワの行動は心に残った。一方でその大義は時に組織を守る非情さに繋がり、裏切者への仕打ちには複雑な気持ちになった。悲劇的なラストシーン、その後の主人公達の運命には時代の過酷さを考えさせられた。複雑な余韻が残る作品だった。
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