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処女喪失のmitakosamaのレビュー・感想・評価

処女喪失(1965年製作の映画)
3.3
堂々たるタイトル!ロマンポルノみたいな扇情的なタイトルだが、雑誌記者の視点からジェンダー論が語られるという割と硬派な内容だ。
当時でも「婚前交渉は認められない」「結婚までは純血を守る」ってのは概念として古くなってきた頃だろう。

冒頭から「1160人のアンケートに基づいた」云々とある。
このアンケートに答えた娘たちのエピソードを元に記者が複数人に調査をする。

でも雑誌記者がアンケートの相手にアポなしで訪問して取材するって、かなり倫理的に違反してるよな。それに実際の雑誌記者なんてモノはちゃんとウラなんか取らず、ただ面白可笑しく無責任に書きまくるものだ。

アンケートの一人は悲惨な運命を辿った娘。婚約者があるが会社社長に手込めにされて、悲観したとことにひったくり。さらに助けてくれた男が女衒で強制売春をさせられる。その上、酔った婚約者と鉢合わせしてしまい電車に飛び込み自殺。いきなり居たたまれない…

一人は大阪のバスガールだった娘。同僚の恋人に犯され、傷心により東京へ。東京で自分の過去を受け入れてくれたバス運転手と結婚し一児をを設ける。

一人は医者に騙された看護婦。身体を許したのに相手は院長の娘と結婚。当てつけで結婚式で服毒自殺。

一人は芸者とのことだったが、実は結婚式場の巫女さんで未だ処女。条件の良い相手を見つけるまで処女を守り、男を手玉に取る強者だ。このキャラクターもかなり不自然だが、彼女が一番現代的で好感持てる。
「処女は幸せな結婚のパスポート」なる名言を吐くぞ!

これらを見聞きしルポライターは「結婚に処女性を求めるのは男のエゴ」と結論づけて終わる。
この一言が言いたいだけの映画だったのだろうが、ジェンダー転換期の思想を鑑みるには言いフェミニズム映画だ。
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