ほーりー

ノートルダムの傴僂男のほーりーのレビュー・感想・評価

ノートルダムの傴僂男(1939年製作の映画)
3.8
【無くなる前に世界遺産は見に行こう】

ちょっと遅くなったが、先月31日は首里城焼失から一年だそうで、歴史ある建物が災害で壊れてしまうと、ああこうなるのなら行っておけば良かったとつい後悔しちゃう。

個人的には首里城は高校の修学旅行で見たからまだあれだけど、去年首里城と並んでノートルダム大聖堂が焼け落ちたのも衝撃だった。

このコロナ禍で修復もあまり進んでないようで、かつての姿を拝むのは当分先のことになりそう。

映画だけでも行った気分に浸ろうという訳で、今回は1939年版の『ノートルダムの傴僂男』を久々に観た。

アカデミー作品賞作『ゾラの生涯』などを手掛けたウィリアム・ディターレ監督指揮のもと、美術セットも俳優陣もなんとも豪華絢爛な作品。

ラスト、ノートルダム大聖堂が引きの絵になるが、そのあまりの寺院のバカデカさに驚かされる。

チャールズ・ロートンは顔といい、スタイルといい、これ以上ないぐらいカジモド役にぴったりで、特殊メイクをしても元の顔のイメージとの違和感がなさすぎる(失礼を承知でいいます)。

おそらく危険なシーンはスタントだと思うが、このロートン扮するカジモドの動きが俊敏で、名優ロートン、ただのぽっちゃりおじさんではないことがよくわかる。

ラストのロートンの演技は、そこに佇んでいるだけなのに、異形の者として生まれてしまったカジモドの孤独さが見事に表現されていて、純粋にこのキャラクターに同情してしまう。

ヒロインは、ロートンがその才能を見込んだ若き頃のモーリン・オハラ。このときまだ19歳だけど既に貫禄十分。『脱出』のローレン・バコールもそうだけど、何なんだろうこの頃の女優の十代とは思えないような風格は。

あと狂言回しのようなキャラをエドモンド・オブライエンが演じているが、若いし痩せてるしで僕の知ってるエドモンド・オブライエンじゃない(笑)

ってか1939年はトーマス・ミッチェル出すぎだろう……この年だけでも一体何作出てるんだ(しかもどれも名作)。

■映画 DATA==========================
監督:ウィリアム・ディターレ
脚本:ソニア・レヴィン
製作:パンドロ・S・バーマン
音楽:アルフレッド・ニューマン
撮影:ジョセフ・H・オーガスト
公開:1939年12月29日(米)/1940年11月9日(日)
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