佳

ノートルダムの傴僂男の佳のネタバレレビュー・内容・結末

ノートルダムの傴僂男(1939年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ミュージカル「ノートルダムの鐘」が好きで鑑賞。

カジモドのセリフ「俺は怪物でもなく人間でもない」これがこの作品の大きな特徴の一つだと思った。カジモドは完全な怪物ではなく、あくまで醜い「人間」であるという設定だからこそ、残酷なリアリティのある物語になっている。「人間と怪物」はミュージカルの歌詞にも出てくるので、この部分は形を変えても残されている大切な要素だとわかった。ここは、岡田斗司夫の解説動画を合わせて見ると理解がさらに深まった。
また、原作とディズニーとで結末が違い、ディズニー側がどうしてこの結末にしたのか(主人公の恋は実らないが街の人から称えられる)というのも岡田斗司夫チャンネルの考察が面白かった。

主人公の恋が実らない結末、かつかなり辛い内容の作品だと思うが、そもそもどうしてディズニーがこれをディズニー作品の題材としたのだろう、と最初は不思議に思った。
しかし映画は確かに暗い感じがするが、見た目は良くなくてもヒロインを助けてくれる主人公、綺麗で色んな人に狙われるヒロイン、ヒロインに邪な感情を持つ人、など登場人物の大枠は元々ディズニーらしい作品なのかもなとも思った。
そして何より、エスメラルダが絞首刑になるところを間一髪でターザンで助けに来たカジモドがすごくかっこよくて、「このかっこよさと痛快さがディズニー化するときの軸になったのかな」と思った。

ラストシーン、ノートルダム大聖堂の一角にいるカジモドをどんどん引きで映していくのが好きだった。カジモドという存在がすごく小さいものに感じて、そのやるせなさや切なさが画面から伝わってきた。ハッピーエンドじゃなくても、これはこれでなんだか綺麗な作品だなと思った。
佳