クリーム

ルート・アイリッシュのクリームのレビュー・感想・評価

ルート・アイリッシュ(2010年製作の映画)
3.9
いつものケン·ローチとは違ったテイストだけど、面白かったです。イラク戦争における軍事ビジネスの実態をサスペンスを交えて、主人公と探って行くストーリーで、最後まで気が抜けず、わりと好きでした。

2007年、イラク·バグダッドで民間兵の親友がテロリストの潜む危険道路ルート·アイリッシュを走行中に襲撃を受け死亡した。親友の死に不信感を抱いたファーガスは、葬儀の後、彼の妻レイチェルに彼から頼まれたと小さな包みを渡されるのだが…。
※ルート·アイリッシュとは、バグダッド空港と安全区域グリーン·ゾーンを結ぶ約12kmの世界一危険な道。



ネタバレ↓



フランキーが亡くなる前、ファーガスの電話にトラブルに巻き込まれているという連絡が何度もあった。
民間軍事会社の経営者ヘインズはフランキーは、スペイン人の新聞記者を迎えに行く途中、仲間と共に何者かに襲撃されたと言う。
レイチェルから受け取った包みの中身は、携帯電話で、中を確認しようとしたが、アラビア語で読めず、英語の解るイラク人ミュージシャンを訪ねます。携帯の中にはイラク人家族がイギリス人兵士の銃撃によって殺される映像があった。その中にフランキーもいて、なぜ民間人を殺したのかと仲間を怒鳴っていた。
ミュージシャンはオーダー17の話をする。それは、イギリス兵が誰を殺しても無罪放免になる法だと言う。ファーガスは真相解明の為、彼に携帯の中の情報の翻訳を依頼した。
ファーガスの同僚から調査報告が入り、イラク人家族を殺した時、フランキーと同乗していたのはネルソンという男と3人のコロンビア人だった。レイチェルは、3人のコロンビア人の名前が、夫と共に殺された者達だと言う。
彼等は、フランキーの死因はネルソンにあると疑う。
ネルソンは帰国し、レイチェルとファーガスの家を荒らし、携帯を探す。
また、ファーガスの留守電からミュージシャンの家に携帯があると思い彼を襲撃した。
ファーガスはネルソンを拉致し、拷問して、真相を聞き出そうとする。しかし、ネルソンはフランキーが死んだ時、アフガニスタンにいた事やヘインズの計画だったと話すが、信じず彼を殺してしまった。
ファーガスの同僚が帰国し、彼等の話から、ネルソンが真実を話ていたと知る。フランキーを始末する為、彼にルート·アイリッシュを何往復もさせたのはヘインズだった。ヘインズの会社は売却され新たなオーナーを迎える所で、フランキーが握っている、傭兵の市民虐殺というスキャンダルを、隠したかったのだ。
ファーガスはヘインズが乗車した車を他に2人を巻き込み爆破し、その後、航行中の船から川へと飛び降りた。

米英を始めとする軍人が現地の人々にヤりたい放題で、傭兵に至っては、各国の軍規に縛られない分、もっと酷い。また英国は失業率が高く、兵役を終えても就職出来ず、戦地で傭兵になり稼がざるを得ない人達も多い。
また、戦争は至る所で起きていて、戦争ビジネスは、引く手あまた。
うんざりする現状を背景にしたサスペンスは、さすがケン·ローチだと思いました。
より良い世界の為に兵士になる人も沢山いると思いますが、それを利用する軍事ビジネスが、潤い続ける世界に憤りを感じました。
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