和桜

ルート・アイリッシュの和桜のレビュー・感想・評価

ルート・アイリッシュ(2010年製作の映画)
3.5
バグダッド空港と米軍管轄区域グリーン・ゾーンを繋ぐ「ルート・アイリッシュ」。常にテロの標的として曝される世界一危険なこの道路で、派遣された民間兵士が死亡する。彼の友人である主人公は様々な疑問を抱き死の真相へと迫っていく。
ケン・ローチ監督作の中では、最もサスペンス的なエンタメ性が意図されて作られてる。ただ一般的なサスペンスとはかなりズレてて面白くはない。役者陣は大昔のハリウッドを参考にしたような大仰な振る舞いや演技を始めるし、物語としても感情面でついていけない。アクションやスリラーへの挑戦は素晴らしいけど、いまいち合ってないのが残念。

母国を舞台に搾取される側の人間に寄り添い続けたケン・ローチ監督。今回はイラク戦争への派兵やそれを担う民間軍事会社に切り込んでるんだけど、謎が謎を呼ぶ的な話ではなく実直に撮って欲しかったかな。
それでもラストはかなり印象的な終わり方で、終わってみるとやっぱり見て良かったなと思ってしまうから不思議。社会に問いかける映画として色んなアプローチを試しながら、毎回最後はキッチリ仕上げてくる職人気質な部分がケン・ローチ作品にはある。
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