これ最高！個人的に当代随一の映画監督ファティ・アキンの27歳時の長編2作目だが、この時点でその後のロードムービーの名手の才能が既にほとばしっている、粗削りながらも心揺さぶり度が半端なく高い逸品。一目惚れした相手を追ってハンブルクからイスタンブールへ、という監督自身の出自を追うような珍道中はかなり破天荒でちょっと偶然が過ぎないか？というツッコミもあるだろうが、まあこれがクスクス笑えるものばかりだし道中の異国情緒もたっぷりだし、何より言葉にはしない感情を画面から滲み出させてキュンキュンさせつつ「そうなって欲しいな」と思う所に軟着陸するという構成がお見事。映画を観るために100分座ってただけなのに、自分も旅して恋した気分になれる、愛すべき映画。
