西村大樹

あさき夢みしの西村大樹のレビュー・感想・評価

あさき夢みし(1974年製作の映画)
4.0
奇跡の1本である。
無常観あふれる脚本と、はかない時代を描くのに、このスタッフは見事な布陣である。映画ではパッとした作品が少ない実相寺監督だが、今作に関してはピッタリとハマっている。実相寺組のスタッフとの相性も良く、演出意図をこれ以上ないままに映像化している。
特に美術は素晴らしい。ATGの限られた予算の中で、ここまでよく作り込んだものである。照明や画角も計算されており、その美術を映えさせることに成功している。
脚本も素晴らしく、ひとりの女を通して人間の背負う悲しみの果てに見えるものを描いている。もう少し人間関係の整理ができていれば、なおさら良かったのだが……。
西村大樹

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