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あさき夢みしのbluetokyoのレビュー・感想・評価

あさき夢みし(1974年製作の映画)
2.6
これか、岸田森さんが坊主になった映画というのは。傷だらけの天使で、やくざかなんかに詫びを入れるとき、かつらを脱いで頭を下げたシーンが有名だ。

時代は鎌倉時代。歴史ものとしては珍しい時代を取り上げている。平安貴族から武家政権。鎌倉仏教の登場と言ったところか。
ただ、見て面白い作品というわけではなく、かなり退屈ではある。踊り念仏のシーンは、迫力があってよかったが、それだけだ。

ストーリーはシンプルである。
後深草天皇は4歳で即位したものの、17歳で譲位して、あとは早くも隠居の身分になってしまった天皇だ。長い余生を生きることとなる。
主人公は、後深草上皇(後深草天皇)の女房、四条である。
四条は、なぜかもてるというか、恋される女という設定。霧の暁に愛され、ついに、子どもができてしまうが、その子どもはどっかに連れて行かれる。
次は、後深草上皇の弟、阿闍梨との恋愛。また、子どもができるが、同様に、どっかに連れて行かれる。
さらに、阿闍梨は、はかなく亡くなってしまう。
ということで、四条院は出家し、放浪の旅に出る。
厳島、熊野へ行く。その間に後深草上皇が亡くなる。
ある寺院に立ち寄り、自ら作成した絵巻物を見せて、また、旅立つ。終わりである。

長々と会話で説明したり、ナレーションで説明したり、あるいは、巻物を表示して、しかも、ナレーションである。
こういうシーンなら、実相寺監督でなくても撮れるはずだが。
脚本は、大岡信さんで、映画の脚本とは無縁な人である(演劇や能はあるみたい)。設定が特殊であれば、専門の脚本家が書くべきだった。
時代設定がそういうわけなので、製作費は倍かかったらしい。現代に脚色してもよかったように思うけど。

もっとも、げんなりしたのは、ジャネット八田さんの睫毛だ。つけまつげかマスカラか。撮影しているときに誰も注意しなかったのだろうか。あるいは、言えるような雰囲気ではなかったのだろうか。

点のすべては、踊り念仏と岸田森さん。
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