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あさき夢みしのmanacのレビュー・感想・評価

あさき夢みし(1974年製作の映画)
1.5
日本の映画会社が興行を狙ってどんどん娯楽作品を作っていく中、最後まで芸術作品を追い求め儚く散っていった日本アート・シアターギルドの中期の作品。

美しさ故に男たちに翻弄された挙句世を儚んで尼となる女房のお話。

まぁ大体ね、中古から近世初期あたりまでの文学に登場する美しい女は世を儚んで尼になりたがるよね。
物語に意外性なんかは求めてなかったからそれはいい。
華やかな衣装や雅な宮中文化を拝見したく思うておりましたが…。

ATG作品って初めて観たけど、これが芸術なんですかね。
画面は終始暗くって衣装は良く見えないし、見えたって大して華ないし。
歌会とか蹴鞠とか香合わせとかなんかそーゆう華やかな場を期待してたけど、殆どないし。あっても割と地味。
音楽もホラーかなってくらいおどろおどろしくて不気味。

一番衝撃的だったのが、主人公の四条に懸想した坊主が夜這いをかけるシーン。
坊主っても阿闍梨だし、禁断の恋臭プンプンの切ない恋のはずなのに、四条の寝所に忍んできた坊主は時代ががったセリフを声高にツラツラ述べて土下座しているけど、言っていることは「とりあえず一発やらしてくれ」だった。なんだこの生臭坊主。昔キャバクラのおねえちゃんに「一回やらして!」と土下座した知人を思い出した。念願かなって思い人とのベッドシーン(ベッドなんかないけど)も、四条の衣を乱暴に引っぺがし、現れた乳をむんずと鷲掴みしてた。もうね、白く嫋やかな乳房にそっと手を…なんていう三島由紀夫的耽美かげんなんてないよね。ギャグかと思ったわ。

ど派手なアクションと分かりやすいストーリーで楽しませてくれるハリウッド映画ばっか観てる庶民の自分には理解出来ない世界感だったなー。
なんでしょね、私が観ること自体が芸術への冒涜なんでしょうかね。
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