Jeffrey

あさき夢みしのJeffreyのレビュー・感想・評価

あさき夢みし(1974年製作の映画)
3.0
‪「あさき夢みし」‬
‪冒頭、十三世紀後半。都は後嵯峨法皇院政の時代。燃える大地、宮殿社会、流行病、西行絵巻、伊勢の神宮、今、四条の物語が始まる…本作は実相寺昭雄がATGに遺した歴史大作で十三世紀後半王朝の挽歌が貴族らの胸を掠める際、宮廷の後宮に生きた一人の女性の愛欲と人間の目覚め、自由を求めての出家を映す。過去の彼独特の雰囲気や世界観は封じ込められ、まるで大映映画を観てる感じの作品で一千万映画のATGで何故にこんな金かかる歴史物を撮ったのか…前三作品と大島渚が脚本した常闇せまれば(短編)を含めば四作は好きなのだ…本作は普通、と言うか内容がかなり重厚で天皇の歴史や言葉の意味を調べつつ観ないと先に進まない…字幕でも付けてくれないとキツイ一本。なので解説書を読みながら本作を再鑑賞した。脚本は詩人の岡本信と言う事もあって台詞が詩的で女子同士の会話が面白い。どうやら原作もある様で「とはずがたり」と言う。前作に引き続き篠田三郎と岸田森が出演、岸田森に関しては丸坊主だ。本作にも無常観は出ている。それにしても簡素でぼかした部分が目立つ…きっと予算上の問題だろう、宮殿内の物語なのに宮殿らしさはそこまで感じず…って外観が映らんからかも。ただやはり才能あるスタッフが集結しているようで、音楽、証明、撮影は脱帽するし、幻想的だ。物語はジンギスカンの孫フビライがモンゴル大帝国を築き、日本に朝貢を求めてくるも幕府は拒否。やがて文永の時代に再度モンゴルは来襲する。一方都では様々な出来事が起き実権を握る者、四条がとある貴族の家に生まれ育てられ愛人になり、出産、誘拐、前に設けた子の訃報が更に四条を傷つける。そして新たな出会いをしまた出産するもまた誘拐され、打ちのめされる。更にまた蒙古再度襲来や流行病が蔓延し死に絶える人が現る。やがて四条は都が抜けて鎌倉等日本各地を歩き回り、都の呪縛が解け細やかながらも幸福に満ちて行く…と簡潔に言うとこんな感じなんだが、兎に角重厚な人間劇を見せられる映画で華麗なる王朝絵巻が圧倒的なスケールで描かれるんだが良くもATGから出したよな…規制とか絶対製作環境厳しいかったと思う…。‬

‪「怪奇大作戦」‬
‪冒頭、壁抜けする男。怪奇に挑むメンバー達。人を喰う蛾。生首が散歩し、落武者の亡霊、機械蝙蝠が現れ、仏像を愛す女、雪女…本作は昭和四十三年から放送された科学を悪用する犯罪者と科学捜査班SRIの戦い、活躍を特撮で描いた全二十六話のドラマ(BD収録二十四話の狂気人間は欠番)で初‬ ‪めてこれを知ったのは数年前に観たマツコと有吉の怒り新党と言う番組で実相寺昭雄特集をしていた際に、初めて知った。その流れで実相寺の無常、曼荼羅、哥とATG映画を連続して観て彼の虜になった。怪奇大作戦では恐怖の電話、死神の子守唄、呪いの壺、そして神的にシリーズの中でも大傑作と思う“京都買‬ ‪います”を監督して余りの独特なカメラワークと数分間台詞を持たせずに哀しみ、空虚さを感じさせるシークエンスが美しく儚くお気に入りだ。上記の三作品も素晴らしいの一言。ホラー要素からミステリー、SFと様々なジャンルがあり、また一話辺り約二十四分と短く観やすく飽きない画期的なドラマだ。勿論‬ ‪当時観た時(この場合の当時は平成二十七年に僕は初鑑賞)からチープ感は否めないが、リアルタイムで鑑賞した年代には怖く面白く思い出深い作品達だろう。実相寺の話ばかりで申し訳ないが、呪いの壺で寺が一瞬で大炎上し、焼け落ちるシーンとかマジで凄絶で不謹慎だが焼ける美、炎の神秘を感じる名場面だ‬ ‪と思う。これが所謂 実相寺組の凄さで京都ロケで街並み、墓地、神社の鳥居を背景に男女を撮るカメラが後退して行くシーン等最高だし、その回の岸田森の切ない表情ったら感動もの…てか岸田森はカッコ良い。京都買いますが最低視聴率だったらしいが奥深さはダントツだと思う。後、一番多く撮ってる飯島‬ ‪敏宏監督の“おやすみなさい”や“ゆきおんな”の画像処理、合成も当時は画期的でかなり驚かれたと思うし好き。‬
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