Hotさんぴん茶

未知との遭遇のHotさんぴん茶のネタバレレビュー・内容・結末

未知との遭遇(1977年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしい映画。
人間の純粋な好奇心を、一つの作品で描き切っていた。
SFだけど、人間の内面や存在自体の不思議を描いている抽象的な作品と感じた。

未知との遭遇は怖くて、楽しい。

未知と出会った大人達が恐怖に慄きつつも子どものようなキラキラした目で、見ていて楽しくなってきた。

幼い子どもは最初から楽しそうで。好奇心の塊だからだろうか。

胸騒ぎの演出が本当に楽しくて。序盤はサルのおもちゃが騒ぎ出し、ミニカーが走り回る。おそらくCGでなくアナログなのが、かえってリアルで楽しい。

UFOのハイウェイ低空飛行はもはや、コメディみたいで面白かった。

後で思ったけどあの山の形状?バベルの塔を表しているのか?
中年?の割に生き生きと走る少年のようなラリーが途中息絶えてたのが悲しい。
やはり真理に辿り着くのは難しいと言うことなのか…。あの軍?の人が言うように、薬効が切れて目を覚ませば良いのだが…。

あとこの作品、人間の役割である、父親や職業を超越した何かを描いており。
何かこう言葉にし難い、目に見えない存在を描いていて。
もはや人の愛とか、人間関係の悲哀とかの感情も超越したストーリーで斬新。

主人公ロイ、は最後家族を捨てた形になっている。思春期さしかかりの長男の表情見たら本当可哀想だった…。父親の奇行なんて見たくないよね?子供からしたらトラウマだ。

でもラストの、ロイの曇りのない表情を見たらもう、何も言えない。子ども帰りしたようにも見える。

映画って、家族愛を軸に描かれることが多いから、そう言うのをほぼ突き放したようなラストは思い切っていてすごいし、作品として、意外で面白かった。

有識者と、一般人、一般人の中でも多種多様な立場の人が、未知との遭遇で繋がり合ってるのがなんとなく微笑ましく。新鮮だった。

人間関係の枠組みを突き放してるのか、むしろ称賛してるのかわからない、複雑な作品。

最後の宇宙人は、真の姿なのか?
人間の姿や仕草を模した、得体の知れない生物だと正直思えた。ラスト笑顔で手を振ってよかったね、と言うほんわかしたムードになっていたけれど。UFOが去った後、夢から覚めたように怖くなりそう💧

でも途中、素朴な5音のメロディが連なるセッションとも言うようなシーン。これは心が浮き立つようなシーンで。登場人物達とともにシンプルに楽しかった。

怖くもあり、不思議な地球外生命体との対面のシーンだった。

あり得ないような話なのに、あり得るようなそもそも水面下で既に似たようなことが起きてるような?

現実と地続きのような感覚を覚える不思議で、印象的な作品だった。