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未知との遭遇のchinsukoのネタバレレビュー・内容・結末

未知との遭遇(1977年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

たまに見たくなる古い映画シリーズ。

スピルバーグの『ジョーズ』に続いて製作された本作、同年に『スター・ウォーズ』の第1作が公開され、陰に隠れてしまったような形になったが、自分の心には印象深く刻まれた。

SF映画における飽食の現代に於いて、本作は刺激の少ない退屈な物に感じるかもしれない。

自分が、本作が如何に素晴らしいかを書いたとしても、それは懐古主義的に捉えられるかもしれない。しかし敢えて「素晴らしい」と言いたい。

本作でインパクトの強いシーンを挙げる。

・主人公ロイ・ニアリーのファースト・コンタクト。ロイが乗る軽トラックが光に包まれ、腹に響く重低音とともに踏切のランプや道脇にあるポストボックスが激しく左右に揺れる。光が消えると同時に、辺りは静寂に包まれる。

・夜中にシングルマザーのジリアンが息子バリーを探して森を抜けた道路で遭遇する未確認飛行物体の群れ。光に包まれた飛行物体が低音と共に通り過ぎ、人々があっけに取られながら凝視する。

・ジリアンの自宅でバリーが未確認の何者かに連れ去られる場面。電気系統に障害が発生し、おもちゃやレコードプレイヤー、洗濯機等が光の明滅と共に動き回る様はホラー映画さながら。

・デビルズ・タワーでのクライマックス。無数の飛行物体が押し寄せるファンタジックなシークエンス。接近遭遇に成功して歓喜するスタッフの前に突如現れる巨大なマザー・シップ。驚愕する観衆。

そして最もインパクトがあるのはジョン・ウィリアムズによるスコアである。5音からなるメロディは、サウンドトラックは勿論、未確認生物との会話手法として使用されており、とても印象深い。

最後に、フランソワ・トリュフォーについて、トリュフォーはSFジャンルを嫌悪していたが、スピルバーグから送られた脚本を受け取ってから3日後に出演の返事をしたと言う。トリュフォーが出演することで、製作側のモチベーションに与えた効果は絶大であり、作品の格を押し上げたものになっている。

少年時代に見た鮮烈な印象は、50年近くたった今でも鮮明に蘇ってくる。
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