マリちゃん

孤独な場所でのマリちゃんのレビュー・感想・評価

孤独な場所で(1950年製作の映画)
5.0
嗚呼、嘆かわしいほどに素晴らしい。
だが、決してこの映画を「教典」とは呼びたくない。
自分に出来るのは、この映画を、演出を、お手本にしたいと慎ましく祈るのみである。
「孤独」に「あわれみ」を感じていける余白が慎ましく作られていることを、映画の良心と呼ばず何と呼ぼうか。
しかし、それを超えて、この映画の真に感動的な点は、そうした美しい映画の原理と、人生の(世界の?)原理とがクライマックスにおいて奇跡的な融合を果たしていることである(ここでいう「映画の原理」とは「殺し屋は殺す」、つまりは「男女は(幸福に)結び付く」という映画において抗しがたい流れのことである。対して「世界の原理」では、周知の通り、男女は幸福に結び付くとは限らない)。
「余白」が慎ましいとか抜かしておきながら、気付けばこのレビューも語り過ぎている。
ニッキー・レイへの道は遥かに遠い。