OK

ゴーストワールドのOKのネタバレレビュー・内容・結末

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ストーリー、カット共に非常にテンポ良く進み、会話劇中心の所謂“大事件の起きない”映画の割に全く飽きずに観ることができた。
美術教員は振る舞いがクソ…もといアーティスティックだが、「自分の皮膚の下にあるものを芸術作品として表現しろ」という指導はかなり正しい。私は皮膚の下に暴力性や主義信条を持たない至って普通の人間なので、こういう事件が起きないヒューマンドラマの方が映画的で愛せる。
現代のセンス系のカリスマなんじゃないか?低体温系青春映画って今じゃかなり主流まであるけどその走りらしい。すげえ。最近お笑いの動画ばっか見てるからか、最早コントや漫才のように思えるシーンも多くかなり笑える。特に美術の補習なんか最高。「なんでもかんでもコンセプトこじつければアート名乗っていいんか?」って、今も20年前も討論されてること大して変わんないのな。
2023年に邦画で同じことやってたら鬼サブくて見てられないけど、時代も人種も違うと作品(他人事)として自分の中に落とし込めるものですね。
ファッションもメイクもインテリアも良くて画力が強すぎるし、ブラックジョークのベクトルも大変好み。キャラも全員良くて無駄がない。
イーニドは典型的な美大女子のティーン時代って感じで、一貫性のない傍迷惑な振る舞いはむしろ一周回って一貫性たり得るなと。気分屋で嘘がつけなくて不器用で、自分が一番ガキなのに周りのこと冷めた目で見ちゃったりなんかして、非モテオタク男のこと「こいつみんなと違う!面白!」ってなって近づいて振り回すだけ振り回して飽きて…いや俺やん。書いてて恥ずかしくなるわ。これが許されるのはティーンまで、肝に銘じます。
ラスト誰の結末も映さないところに監督の美学を感じた。うだつの上がらないヤツらはきっと今後もうだつの上がらない日々を過ごす。運命がちょっとだけ変わったり、やっぱり変わらなかったりする。大事件なんか起きない。それでもええやんな、って感じ。不自然に誰かだけ報われたり罰されたりしないことこそが日常であり人生だと思う。
地元のミニシアターでこれ見てたんだけど、女子高生が1人で見に来てて、なんかうまく言えないけどいいな、って思った。
OK

OK