回送ペリカン

ゴーストワールドの回送ペリカンのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
4.2
最近『ブックスマート』を観て、舞台と人物の設計がかなり似ているのでそういうコメディを期待して観たんだけど、もっとぬるっとした、リアルな低体温の手触りで、どんどん笑えなくなっていくような、かなり曲者の映画だった。個人的に、観た直後よりも少し時間をおいて感想が出てくる映画だった。
イーニドというキャラクター、好きになるには自分にも心当たりある性格の悪さが多く、またそこに女子特有の拗らせもあり、なかなか掴みづらい。彼女が拗らせてるのは事実として、でも退屈な世界に仕方なく順応するのが利口とも思えない。みんな分かってないってことだけ分かるけど、自分もどうしたいか分からない。青春映画だなぁ。そしてこれ「なんとなく30歳位には死ぬと思ってた」ガールぽい。やっぱりこれが女子の実感なのかな…。レベッカがさっさと適応しちゃうのがまた寂しい。シーモアには蛙化症状を起こしてしまい、どこにも居場所がなくなった彼女は突然バスに乗って行ってしまい、唐突に映画は終わる。あれは僕は一応のバッドエンドと受け取っていて、結局一皮剥けることができなかったイーニドは最後までおとぎ話じみたお迎えに縋ることしかできなかった、というところまでのお話なのかなと。あれはただの心象風景かもしれないし、本当にバスに乗って、着いた先で何か成し遂げたりするかもしれない。けどあの終わり方は「何となく30歳位には死ぬと思ってた」と思ってしまう女子にとっても、男子だけどイマイチ夢も希望も薄い自分にとっても、すごく残酷できれいな終わり方だなと思った。
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