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ゴーストワールドのsinginggizmoのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
4.5
学生の頃、大好きだった作品。
まさかリバイバル上映するとは、ありがたい。

ノスタルジックなのに、全くセンスが古く感じない。
かわいくてオシャレなルックが目を引くけど、実は作り手の本当に好きなものや本質的な感情が表現されているダークな渋い作品。
今みても変わらずいい!

ソーラ・バーチとスカヨハ、2人とも本当に可愛いくて、ベストな配役。
衣装のセンスも抜群によい。
あくまでイーニドとレベッカというキャラが存在していて、彼女達が自分の服を普通に着ている感じがする。

ダニエル・クロウズの原作コミックの世界観が絶妙に表現されていて、コミックがそのまま三次元になった感覚。
冒頭のイーニドが住む集合住宅の窓から家の中の人々を映していくシーンで、もうコミックの雰囲気を感じられる。
ダニエル・クロウズも脚本や現場にかなり関わったようだし、それが凄く成功してると思う。

主人公2人の周りの人々は、愛すべき変人ばかり。
カリスマ性ある強烈な変人とかではなく、全員へなちょこな感じがかわいいんだよなー。
ジョシュのバイト先のコンビニに出入りするヌンチャク男が好きすぎる。
ブシェミ演じるシーモアも、その友人も絶妙にコミックのキャラ感がある。
街やインテリアなどの美術、ライティングにもこだわりを感じる。
おしゃれでポップでダークで、でもなぜか親しみがあるしょうもない世界を作り上げている。

周りをシニカルに見てバカにして、一般的な進路に反発しながらも、どこに向かいたいかわからずふらふらしているイーニド。
原因不明の生きづらさを抱え、世間に馴染もうと頑張ってみるもののやはり馴染めず、自分の感情とも上手く付きあえずに周りの人を傷つけたり…それは自分も本意ではなく、ダメな自分に自己嫌悪する。
わかる、わかりすぎる。

ラストの見方は色々だけど、わたしはイーニドは別の街に行ったのだとポジティブに捉えたい派。あくまで解釈を観客に委ね、ファンタジー味を残して終わるのが好き。
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