Rita

ゴーストワールドのRitaのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
4.3
疎外感への反抗。

オープニングから70'sサイケデリック風なインドのロックミュージカルが流れた時から私の心は鷲掴みされたも同然だった。高校生活が終わって、変わってしまう友達。不安からの逃避行。私の心に寄り添ってくれる優しい作品。

「世の中ほんとうんざりする 何もかも上手くいかない」イーニドの友情、将来、恋、家族、人間関係への悩み。世界に馴染めないはみ出しもの。人間嫌いで何が悪い。感情をスクリーン越しに投げつけられたような感覚。すべけさらけ出して自由になりたい。

リアルで深刻にも見れてしまう。"普通"じゃない事で周りから嫌われて孤立してしまったり、絶対に大人になったら社会に出なければいけない。それに耐えるメンタルって限度がある。少なくともイーニドに共感してるから自分と重ねて虚しくなってしまうのかも知れない。生きやすい世界になったらいいななんて思っても自分が変わらないと何も変わらない。理不尽な世の中。屁理屈なんて言わないで。

他人を"キモイ"と言って片ずけることも出来る。他人だし会わなければどうともならない。だけど声を掛けてみると自分が思っているような"キモイ"奴じゃないのかもしれない。人を見た目で判断するって良いこと?悪いこと?

スティーヴ・ブシェミの冴えない中年男役が似合いすぎて笑える。イーニドの同級生のバイト先にいつも居る出禁の80年代風半裸のヌンチャク男も最高に面白い。イーニドのファッションもお洒落で可愛くて良い。キャラがみんな濃いくてでもそれば愛おしくて大好き。イーニドがシーモアの恋を応援して出来たシーモアの素敵で完璧な彼女。笑顔が綺麗で陽気で楽しい女性凄く憧れる。

結末もイーニド本人がどうしたいか言っちゃってたから分かってたけど、いざそう終わりが来るとと悲しくなった。彼女がこの先どうやって生きていくんだろうって気になってしまう。

学生時代に友達と遊んでて、今日何するってなった時、飲み物買ってその辺の椅子に座ってまったく知らない赤の他人を見ては変な物語や言葉を作って遊ぶという何とも馬鹿馬鹿しいことをしていたことを思い出した。
Rita

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