慢性眼精疲労でおます

ゴーストワールドの慢性眼精疲労でおますのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
3.3
ありきたりだけど、世界とはかくあるものと決める主体は他でもない自分の脳だから、世界が亡霊で満たされているとしたらその原因は自分にあるのかもしれない。

亡霊なのかなんなのかわからないけどダイナーで後ろの席に座る客が顔に粉を塗りたくってるのに一切触れられなかったりする違和感がそこかしこに差し込まれる街。

脳の所有者たるイーニドの人となりを見てください、皆さん。どう思いますか。という視点。その問いかけが主題というわけではないと思うけど、じゃあ主題はなんだろう?

イーニドのなかに自分や知人との共通点を見出しては胸を痛めることだろうか。それとも冴えない中年男が冬を目の前にして小春日和を迎えても勘違いして冬への備えを止めてしまわないように諭すことだろうか。

イーニドが約束を破るたびに破滅への歩みを進めていく。彼女に約束を破らせるように突き動かすものはなんだろう。

思えば僕も若い頃は約束なんてなにひとつ守れなかった気がする。今だって、ただ約束を避けるのが上手になっただけで、本質は変わっていないかもしれない。なら、あいつらは亡霊だからと割り切っている分だけイーニドが潔いんだろう。

バス停のベンチはバスの行き先を示唆しているようだったけど、一旦お休みみたいなニュアンスだったらいい。