なおさん

人間失格のなおさんのネタバレレビュー・内容・結末

人間失格(2009年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

原作未読の状態でコレを見て、果たして話が分かるのだろうか?と心配になった。
とりえあず、『人間失格』は生田斗真萌え映画、または萌えられない人にとっては「この作品って何だろう…?」と思いを馳せる考え事映画です。

考え事をした結果、この映画は「葉蔵が“母”を求めるお話」だという結論に行き着いた。
罰されたいと願いつつも、1つで良いから絶対的なものに抱かれて(守られて)いたい。みたいな。

葉蔵は絶対的なものを求めて女を転々とする。でも“女”は駄目なんです。
途中、葉蔵にモルヒネを与える寿も母っぽくたしなめたり叱ったりするけど、最終的に“女”になる。
葉蔵も「キスしてあげるから」と言って、寿を女だと認識している。

最終的に行き着いた鉄のエピソードで、急に場面が切り替わるあのシーンはベタやけどそのまま胎児を意味しているんでしょう。
つまり、一応は葉蔵が“母”の元に行き着いたと。

しかし、葉蔵と鉄は“親子”になった筈なのに、葉蔵は虚無顔だし例の胎児シーンでは鉄に背を向けている。
鉄は葉蔵の“本当の母”ではなかったのだと思います。

原作を読んだ時から思っていたけれど、葉蔵が行き着くべき“本当の母”たる存在は、彼を「神様みたいないい子」と評したバアのマダムだと思うのです。