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人間失格のKUBOのレビュー・感想・評価

人間失格(2009年製作の映画)
3.0
昨年、変わった『人間失格』ばかりを見たので、生田斗真主演のものなら、きっとちゃんとした『人間失格』だろうと思って見たのだけれど、これが全くもってダメだった。

まず、酒に溺れ、だらしなくても女性にモテ、すぐに女に手を出すくせに、自殺願望があるという、太宰らしさが全く描けていない。

これではただの鬱の人間だ。

私は俳優生田斗真は大好きなんだが、10年前はまだ下手だなぁ。いや、生田斗真以上に、伊勢谷友介が下手だし、中原中也役の森田剛に至っては下手すぎて話にならん。というより中原中也が森田剛の段階でもうダメだ。

また故人に申し訳ないが、この監督、女性を綺麗に撮れない。私が寺島しのぶが好きじゃないからってだけじゃなく、坂井真紀、石原さとみ、小池栄子らが演じる女たち、みんな綺麗に撮る気ないんじゃないかと思うくらい「絵」に魅力が感じられない。

また心中を決意するほどの恋愛にいつなった?ってくらい、色恋の描写が足りない。なぜ女性が虜になっていくのか、そして彼の自殺願望に取り込まれていくのかが描けていない。

ベテランの使い方もすごくて、大楠道代、室井滋、三田佳子ら豪華面々なのだが、最後の三田佳子は申し訳ないけど、正直気持ち悪かった。

原作にないシーンもいろいろふくらませていたけれど、正直監督が太宰治をちゃんと理解していたのか甚だ疑問。

これなら蜷川実花版の方が全然良かった。
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