ほーりー

ジキル博士とハイド氏のほーりーのレビュー・感想・評価

ジキル博士とハイド氏(1932年製作の映画)
4.8
本作品が公開された1931年のハリウッドは、「魔人ドラキュラ」「フランケンシュタイン」といった古典ホラー映画の当たり年。

知名度から言えば他二作の方が遥かに上だが、現代の目から見ると、最も内容や形式が古びていないのは本作だと思う。

何と言っても特撮が素晴らしい。

たとえば鏡越しのジキル博士が、ワンカットで野人の顔に変貌するシーンなんて、DVDの特典の解説を聞かない限り、トリックがわからない程のクオリティ。

マムーリアンの演出も冴え渡っている。

夜のしじまを破るという言葉がまさにピッタリな、縦横無尽に暴れまわるハイドには、ダークヒーローとしての魅力が十分溢れている。

そして、そのハイドに生命を与えたのは、端正な美男子のジキルと両方演じた名優フレドリック・マーチの功績が大きい。

物語が進むにつれ、徐々にハイドの特殊メイクが凄いことになる。

DVDの解説によると、マーチの顔が本当に壊れるぐらいキツいメイクだったらしい。

そんな激痛に耐えながら、善悪(もしくは理性と野性)を見事に演じ分けたフレドリック・マーチ。

個人的には五本の指に入る好きなスターです。
ほーりー

ほーりー