コロン

サラの鍵のコロンのレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
4.2
ペタン元帥下のヴィシー政権で、フランス警察によるこんなにもおぞましいユダヤ人迫害があったとは知らなかった。弟を助けるために良かれと思ってした行為の残酷な結末を見てしまったサラの絶望が痛々しい。親切なフランス人老夫婦に育てられても、アメリカに渡って夫と息子を授かっても、サラの自分自身を許せないトラウマが癒えることは決してなかったのだろう。サラの物語を、偶然に彼女のことを知り、調査にのめり込んでいくアメリカ人ジャーナリストのジュリアの物語と絡めて、時間軸を超えて紡いでいく手法は、この映画に静謐さと上品なミステリー テイストを与えていると思う。サラの息子が真実の母親を受け入れ、ジュリアと談笑するラストシーンには穏やかな赦しが感じられ、とても温かい気持ちにしてくれる。クリスティン・スコット・トーマスとエイダン・クインが良い味を出してる。でも最高なのは、子供時代のサラを演じたメリュジーヌ・マヤンスだろう。
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