前作「山口組三代目」の公開で社会的な賛否両論を巻き起こしつつ、半ば強行的に制作された続編。
山口組三代目・田岡一雄を引き続き高倉健さんが熱演しています。
山口組全国制覇の前章となる本作では、田岡が亡き二代目の跡目を継ぐまでの粉骨砕身ぶりを細かく描写しています。(ここでの岩本興業とは吉本興業のこと)
出所した田岡には公民権が無く兵隊にも行けず、そうした不甲斐なさの中で親分の敵討ちと博奕に明け暮れた不毛の時期。
その後、終戦と同時に大日本帝国がもたらした戦争の皺寄せは、三国人の暴走という形で神戸を無法地帯へと変貌させます。
そうした不良三国人を相手に、街の自警団として尽力したのが他でもない山口組。
その間を取り持った重要人物ボンノも短いながら安藤昇が好演。
(この詳しい内容は別作「神戸国際ギャング」でどうぞ)
ラストは続編を匂わせつつも結局実現しなかった「山口組三代目激突篇」への哀愁がひとしおに感じられます。
かつて田岡のムショ仲間だった朝鮮人役の田中邦衛が特に良かった。
拓ボンの一流チンピラ演技も言わずもがな最高でした。
本作はヤクザの頂点に登り詰めた田岡一雄の軌跡を知る上でも、そして山口組が分裂した今、歴史的価値の側面でも大変重要な作品であるように思えます。
