半兵衛

三代目襲名の半兵衛のレビュー・感想・評価

三代目襲名(1974年製作の映画)
3.0
近年ソフト化され、いわゆる戦後の三国人問題などを描いていることからいろんな所から評価されているみたいだが、勘違いしてほしくないのは当時の東映にとってこれが通常営業だということ。
東映やくざの要といえる小沢茂弘の演出は前作の山下耕作監督の情緒溢れる演出からがらりと変わり、セックスあり暴力ありギャグありの良く言えば娯楽のツボを押さえた、悪く言えばいつもの東映映画の作り方の典型と言える作品になった。
戦後神戸で暴れる三国人と、刑務所から出てきた田岡一雄率いる山口組の徐々に白熱する戦いはテンプレながら面白く、結構観入ってしまう。ただ主人公・田岡と女芸人との描写や、田岡の妻(松尾)の描きかたが下手なのは苦笑してしまう。あと山城新伍のシーンはどう贔屓目に見ても「会社から必要だと言われて撮りました」感が強い。

それでも東映によく出てくる役者たちの演技賞とは無縁の、いつもの演技に何だか見ていて安心する。高倉健、田中邦衛、山本麟一、渡瀬恒彦、待田京介、天津敏、遠藤太津朗、汐路章、岩尾正隆、川谷拓三、室田日出男…。この当時は何てこと無い風景だけど、今見ると懐かしくて涙が出そうになる
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