まるでデニス・ホッパーが自分のキャリアと飄々と戯れているような、ニューシネマという重荷を投げ捨てて撮っているかのような映画。才能がありすぎた彼には色んなことがあったけれど、こういう作品を作れたのだから無駄にはならなかったはず。
軍人二人と護送される女性囚人という『さらば冬のかもめ』のような苦いヒューマンドラマになりそうな展開を、情報量の多い軍人と脱走する囚人の追いかけっこやらアクションや最初は仲が悪かったのに喧嘩をしているうちに仲良くなる軍人コンビの明朗なキャラによりひっくり返してしまうのが痛快。他のレビューの方も書いているように『静かなる男』を彷彿とさせる匹敵する遊園地での殴り合い、最高のタイミングでの穴への落下、とんでもないところに突っ込み動けなくなる車など工夫された画づくりも随所に出て来て見飽きない。それに止めを刺すのがふざけた監督本人の登場場面。
前年監督が出演した『トゥルー・ロマンス』を意識したかのようなラストも、ここいう終わりかたでもいいじゃないかと達観したような作者の心境が感じられて妙に感動する。