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ノー・マンズ・ランドのcamusonのレビュー・感想・評価

ノー・マンズ・ランド(2001年製作の映画)
3.5
これまで、ボスニア紛争を題材にした作品として、
「サラエボの花」や「ウェルカム・トゥ・サラエボ」などを見てきましたが、
それらは、一般市民の被害に焦点が当てられていました。

本作品は、国境最前線の無人地帯(ノー・マンズ・ランド)を舞台にした
軍人同士のいざこざのお話しなので、
銃弾によって、簡単に人が死んだりしますが、
湿っぽさがなく、ドライな感じで、悲壮感はあまりないです。

主人公も、まあフツーに良さげな人なんだけど、
よくよく考えると、これまたフツーに人殺ししちゃってます。

シーンのほとんどは、塹壕の中に取り残された
主人公のボスニアック兵とセルビア兵とのやりとりで、

銃を相手に突きつけて命令していた一方が、
気を抜いてるうちに、相手に銃を取られて立場が逆転し、
というような展開で、
あえて例えるならば、コント赤信号的な脚本です。

紛争のバカらしさを皮肉を効かせた苦笑いをまじえて、戯画的に伝えていますが、
これは紛争当事国出身の監督だからこそ許される手法だと思います。

こういう毛色の変わった反戦映画もよいとは思いますが、
少なからぬ脚色があることから、
どこまでをリアルとして受け止ればよいか迷うところがあります。
どこか、ワンクッション挟んだ感があり、
今ひとつ、直接、突き刺さってこなかった気がします。
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