NM

ノー・マンズ・ランドのNMのレビュー・感想・評価

ノー・マンズ・ランド(2001年製作の映画)
4.0
セルビア・ボスニア戦線の中間地は、誰もいない無人地帯(ノー・マンズ・ランド)。

そこでお互い重傷を負って出会った、ボスニア兵チキとセルビア兵ニノの
会話劇がメイン。

お互い駐留地から孤立しており、他の仲間は遠くから監視するのみで
攻撃はしても助けには来ず、二人とも身動きが取れないという奇妙な状況。

はじめ、二人は当然喧嘩する。
お前らは攻撃をやめない。
そっちこそ。
そっちが始めた戦争だ。
そっちさ。
……云々。

埒があかない。
戦争の殆どはきっとこうなのだろう。
お互いが自分の正義を信じ、相手に原因があると思っている。

ただ、会話でも感じられる通り、この二人は若干幼稚さがある。
または素直さ、危機感の薄さ。

そんな二人は、ケンカ腰ながら会話をするうち、同じ状況に置かれたシンパシーも少しずつ生まれる。
しかしこんな状況ではそう簡単には友人にはなれない。
心を許したり、閉ざしたり、一触即発。
もし戦争ではなく別の出会いをしていたら友達になれたかも知れないが。

チキがその場を動けないのは、仲間のツェラの背中に地雷を仕掛けられていて身動きが取れないことにもある。

銃撃シーンはあまりなく、戦争映画としてはとても静かな雰囲気で進み、
皮肉的な視点が、時々おかしみさえある。

とはいえハートフルな人間ドラマでは全くない。
戦争の残酷さを独自の切り口で捉える。

静寂で迎えるラストはあまりに衝撃的。
あまり他に見られない、特殊な作品。
1.5時間はとても短く感じられた。
NM

NM