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喜劇 男の腕だめしのotomisanのレビュー・感想・評価

喜劇 男の腕だめし(1974年製作の映画)
4.0
 世間の隅を照らそうなんて北島三郎を背に浴びながら緋桜喜和子がどんと脱ぎゃあたちまち十手捕り縄平沼署。こんな騒ぎの春風ミュージック劇場が親子生き別れ解決篇の舞台にもなるとは'74年の夜虚破舞高速下だから。
 任侠もので始まってポルノ味、刑事もの、人情噺、血液型サスペンスを練り込んで最後もいちど緋桜喜和子がお上の厄介になるのを見送れば、お好み焼きだかなんかみたいに複雑に旨いわけである。
 はなしの筋はどうあれ、焼け跡でフランキー春風が悦子母ちゃん(の若い頃)とできて四半世紀すると息子湯原がマグロ倉庫の見張り番兼アパートの鍵貸します兼夜学生兼刑事をやりながら警視総監を目指している、その同じころ東京では萩原と水谷がどこかのビルの天辺で通勤電車を見下ろしながら明日をも知らずお呼びを待っている。あの場末感のなか、それでもみんな胸張って生きてるもんね。このすっとこどっこいな感じを、ますみ姐さんやら同じタヌキのだまし合い雁之助、全共闘崩れ?Uターン組っぽい兼ヤン蓮司で寄ってたかって照らす世間の隅のとかく儘ならねえのを緋桜喜和子が丸ごと引き受けるあたり最後の渡世人だなー
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