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月世界旅行のdirのレビュー・感想・評価

月世界旅行(1902年製作の映画)
3.5
SFという言葉もない時代に、映画のパイオニアであるフランスのジョルジュ・メリエスは甥の「月の上の風景を映画で見てみたい」という言葉をきっかけに、『月世界旅行』を作る。

地球の衛星、月に向かうべく宇宙船の建造に取り掛かる。月に到着した天文学者たちはそこに住んでいた先住民の長をぶち殺し、迫害する。ありったけのフロンティアスピリッツ。そして異星人をひとり連れ帰り、地球へ帰還するという妙なブラック・ユーモアがある。SF映画の基本プロットが14分という短編に詰め込まれたすさまじさは、普通にすげー。

ロケットが刺さり、顔をしかめる月はメリエス本人が演じ、そのビジュアルのおもろさがこの映画のキャッチーさに活きてる。もちろん好奇心旺盛なメリエスはSFだけじゃなく、元祖モンスター映画と呼ばれる『真夜中の出来事』(1899)やその他ホラーやコメディに分類するような短編を数多く残しているらしい。

『月世界旅行』の後にも、その続編的な『太陽旅行』(‘04)や『海底二万マイル』(‘07)、『遠距離電気写真』(‘08)、キャリア末期における集大成的な作品『極地征服』(‘12)なども残して、いつかちゃんと見てみたい。
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